JTB旅物語 M6262-0(2014.09.20〜09.22) [拡大]
世界遺産・白神山地の旅 総括: 世界遺産の白神山地に行ってきました。現在日本には世界遺産が18登録されており、その内自然遺産は 4か所で、白神山地と屋久島、知床、小笠原諸島である。大自然をテーマに旅をしている私にはこの4か所は外せ ない場所である。2007年に知床に行き、2009年に屋久島、今回3つ目の白神山地である。当初、名勝地の様に美し いブナ林の景色を期待していたが・・・さにあらず!人の影響を全く受けていない原生的な状態が広大に存在する ことが世界的に珍しく、世界遺産としての価値を生んだのである。椎茸栽培のホダ木以外には利用価値がなかった、 ことが結果的に伐採を免れ価値を生んだことになる。しかし樹齢200年-300年の大木は全身の枝葉から受ける水滴を 樹根に蓄え、ブナの林には水が絶えないと云われその落葉は他の樹木や生物の栄養分となり、究極の森と呼ばれて いる所以である。 白神山地が何故世界自然遺産になったかその理由を整理してみよう。一般に世界遺産に選定された理由は 自然遺産であれば「顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、絶滅の恐れのある動植物の生息・生育地など」 となっている。青森県のホームページに分かりやすく書いてあるので転用してみる。特に白神山地の世界遺産地域は、 人為の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が東アジア最大級の規模で分布していることにあります。 その価値は、地球的に見ても極めて重要であると評価されています。ブナ林は、動物の餌となる植物が多く、他の 森林に比較して豊富な動物が生息しているほか、水源涵養機能や地表侵食防止機能なども高いのが特徴です。 このような多面的な機能や美しさは、近年日本でも高く評価されるようになっています。ブナ天然林での降雨が枝葉 や根幹を伝わって大地に吸収され、多種多様の動植物を育(はぐく)みながら谷川に滲(しん)出し大海に達し、 豊かな恵みを与えます。海水は水蒸気や雲となって再び山地に還(かえ)り、大いなる生命の循環が行われていま す。白神山地は地球上の至宝であり、これを保護して次の世代に伝えるのが人類の責務です。日本のみならず全世 界が白神山地を永久に保護することを宣言したのです。 今回の世界遺産・白神山地の旅は専門の山岳ガイド付きであった。我々が普段聞き慣れない山の専門用語を 巧みに使いこなし面白く説明を聞くことが出来た。ブナ林も初めて見たことだし、ブナの枝葉から受ける水の量 とか樹根に蓄える水の量とか落葉して腐葉土となる量とか樹齢が何年程度であるとか知らないことが多いが山岳 ガイドさんは詳しく説明してくれる。ブナの木が小さくて少なければ山が惹いとかキノコが腐っていれば流れる とか融けるとか色々な言い方があるものだ。ブナの木の表皮をみれば1本の黒い筋が付いているが枝葉が受けた 雨水が流れ落ちる道だそうで雨の日にはその道を伝わって樹根に流れていくのだそうだ。ブナの木がある所には 水が絶えない、「天然の水がめ」であるとかそんなところまでは知らない。ブナ林一つを取ってみてもこうだし、 食べられる野草、食べられない野草とか、野草の食べ方とか専門家は沢山の知識を持って我々に説明してくれる。 専門家の役割は大きい。我々一般人が聞けば大変勉強になる。種の実が落ちて若芽が育ち古くなった木は朽ちて 腐葉土となり他の生物や植物の栄養素となりそのサイクルで森は生きていると云うことを知る。 東北の旅は素晴らしい!今回は東京から東北新幹線で北上駅まで行き、そこから観光バスに乗り換えて 東北自動車道を北上し途中八幡平国立公園に寄って、さらに北上し途中から八戸自動車道に入り天皇/皇后両陛下も 視察された美しい野草の花咲く種差海岸に行きその後大鰐温泉まで引き返して宿泊すると云うコースであった。道 中の風景は爽やかな青空に収穫の始まった黄金色の田園風景やたわわに実ったリンゴ畑が続き東北の自然の風景を 満喫した。八幡平のパノラマ風景も素晴らしく色付き始めた全山の美しい紅葉も印象的であった。リンゴ畑も何十 年振りに目にし、その当時バケツ一杯のリンゴを2-3百円で買って食べたことを思い懐かしく思った。世界遺産・白 神山地の散策や十和田湖湖畔、美しい奥入瀬の渓流を散策し存分に秋を堪能した。帰りも北上駅経由で仙台まで長 い道のりであったが、途中道の駅に寄っては東北の美味しい果物や珍しいものを食べたり楽しいバスの旅であった。 東北のバスの旅も満更捨てたものではないと思った。 また、今回は鰺ヶ沢駅から深浦駅まで五能線を利用した。短い区間であったが日本海の美しい風景、奇岩怪岩 に打ち寄せる白い波、千畳敷駅では平坦で広々と続く岩場を観光する時間まで取っていてその間電車が待っており 発車が近付くと気笛を3回鳴らし合図したり、景色の良いところでは速度を落として楽しめるように配慮するなど 五能線を利用する鉄道ファンや世界遺産・白神山地を訪れる観光客たちを楽しませてくれる。また大相撲でお馴染 みの舞の海関もこちらの出身で鰺ヶ沢駅近くには記念館もある。また映画「わさお」やTVで人気犬のわさおは駅か ら5分で会えるところにいる。津軽三味線生演奏や津軽弁「語りべ」実演など車内イベントを開いたり、また途中に はあきた白神駅や鯵ケ沢駅、十二湖駅など世界遺産・白神山地のゲート駅にもなっている。我々が乗車した「リゾー トしらかみ」の車内はスペースが広く、窓面積も広く、ゆったりくつろげるように工夫されている。この他にも「ブ ナ編成」「くまげら編成」の3編成で全て禁煙指定席で運転されている。青森県の五所川原から秋田県の能代までの 147.2kmを走るローカル線であるが従来の赤字路線からの脱却を目指して様々な工夫が配慮されている。水森かおりの 「五能線」の歌も応援歌である。ローカル線は地元にはなくてはならない存在であるが運行収支からすれば赤字路線 となり廃止の論議が絶えないが、地元の資源、風土、伝統などを最大限利用して生き残る道を模索しなければならな い。その意味でこの五能線の様々な工夫努力は傾聴に値するし、今乗ってみたいローカル線として人気の高い秘密だ と思った。 旅の楽しみは添乗員やバスの運転手やバスガイドさん達、所謂 旅のサポーターによって決まることが多い。 その日の朝一番の挨拶から始まる。明るく大きな声であればこちらも明るく返事をすることも出来る。人間だから 機嫌のよい時もあれば気分がスッキリしない時もある。スッキリしない気持ちであっても吹き飛んでしまうのであ る。お願い事があっても事務的に処理されるか親身になって聞いてもらえるかにもよる。それ程添乗員の仕事は大切 なのである。誰でもできることではない。その資質と知識と気転が左右するのである。途中でハプニングが起きても それに対応できる能力である。今回は素晴らしい添乗員(松ちゃん)に恵まれ楽しい旅が出来た。更に特筆すべきは北 上駅で新幹線を降りて以降最後に仙台まで帰って来るまでのバスの旅では素晴らしいバスガイドさん(小岩久美子)に 恵まれて楽しく過ごすことが出来た。話題の豊富なことに加えて話し上手で津軽弁を交えての話や爽やかな声で民謡 を披露したりあれやこれや芸達者なことに驚くほどの素晴らしいバスガイドさんであった。添乗員やバスの運転手さ んやバスのガイドさんたちがそれぞれの立場でプロ意識を発揮され素晴らしい仕事をされていたことに改めて感心し 感謝したい気持であった。 今回の旅もまた面白かった!いろいろ想像を越える環境の中での文化や大自然の雄大さに触れることが でき、考えさせられたり刺激を受けることができた。やはり世界を歩き新しい文化を見て体験して感じること ができる喜び・・・これが生きているという実感に繋がるのである。やはり旅は楽しい!